性もありますので、これまで以上にデータ分析が重要になっています。現在、日本からも多くの選手が海外で活躍しています。Jリーグの価値を高めていくためには、世界の選手たちがJリーグに来たいと思うような、世界の五大リーグの地位に少しでも近づけていくことが必要です。現在、日本のサッカーは大きな転機を迎えています。サッカーは見ている人にとって大きな夢やパワー、感動を届けることができるスポーツだと思います。私たちは大阪から世界へと、そして大阪と言えばセレッソといわれるように頑張っていきたいと思います。田尾さんは、同志社大学からプロ入りし、その後、中日や西武、さらには楽天の初代監督を務めるなど多彩な経歴を重ねられ、輝かしい実績を残されてきました。そういった経験を背景に、プロ野球におけるマネジメントの重要性について貴重なお話を伺う中で、IT業界のマネジメントにも大いに参考になる示唆をいただきました。同志社大学には野球推薦がなく、通常の入試で入学しましたが、野球部員の中では一番成績が良かったと言われました。同志社では4番でピッチャー、キャプテンをしました。卒業時に社会人野球からも多くの誘いがありましたが、当時の監督から、もしプロに行くのであれば、ドラフト前に社会人はすべてお断りするように言われ、まさに「まな板の鯉」の心境でドラフトの結果を待ったことを覚えています。中日では一軍スタートでしたが、お願いして2か月だけ二軍に行ってから一軍にいきました。新人王もいただきましたし、3年連続で最多安打も取りました。最近いろいろな選手を見て思うのは、いいセンスをしているのに、コツを身につけていない人が多いということです。本当は二軍にいいコーチが欲しいと思います。そうすれば高校から来た選手たちももっと伸びやすいと思います。一軍は勝負する場なので、ある程度出来上がった選手が気持ちよくゲームに臨める雰囲気を作ることが必要です。次に西武に移りましたが、お世話になった2年とも優勝しました。1年目は期待にそえず少し成績が落ちてしまったので、契約更改のときに、代表の期待にそえず申し訳ありませんと申し上げたら、よく頑張ってくれた、「夏休みにボロ負けした試合の1点は、田尾君のホームランだった。あれは見に来ていた子供達の夏休みのいい思い出だ」といわれて涙が出そうになりました。この代表にならいくら下げられても気持ちよく押そうと思いました。やはり人を育てるには、褒めて育てないとついてきてくれないのだと思います。スポーツ界においてもマネジメントは非常に大事です。阪神時代では、村山監督とはあまり合いませんでした。生涯のサヨナラホームランは4本ですが、実はすべて村山監督の時で、逆にエネルギーをいただいたと思っています。その後、楽天の初代監督に就任しましたが、100%最下位になるチームだと思いましたので最初はお断りしました。楽天での監督としての仕事は、まずはプロレベルの最下位球団を作ることだと考えました。当時、他球団の監督にお願いに行きましたが、王さんは、日本のプロ野球にこんな弱いチームを作ってはだめだと言って、できるだけ協力すると言ってくれました。プロ野球界のマネジメントは本当に面白いのですが、信頼関係が特に重要です。私は今70歳ですが、先日、同年の中畑や梨田、落合と話したのですが、もし監督の話がきたらどうするというと、全員やると言っていました。「無理」と言った時点で年を取るのだと思います。「よしやるぞ」という気持ちが生活にも張りをもたらすと思います。福島さんとは、10年以上前にIT関連のフォーラムで、福島さんがモデレーター、私はヤンマーの取締役として 第8号テーマ『プロ野球人生〝信念と挑戦〟そしてIT業界への示唆』人間関係、信頼構築の重要性、逆境での決断、そしてスポーツ界のマネジメントからIT業界への示唆矢島理事長野球評論家・解説者田尾安志氏 第9号ジャーナリストテーマ『多様性を持つ経営こそが重要!』女性ジャーナリストとしてのキャリア形成の苦労と独立、企業経営における多様性の重要性、そして生成AI活用への提言矢島理事長福島敦子氏野球評論家 田尾安志氏が語る 特集Ⅱ13
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