CIO LoungeMAGAZINE_2025autumn
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パネラーを務めたのが最初の出会いでした。ご出身は島根県松江市で、津田塾大学卒業後、マスコミに入られましたが、3年で独立されました。その後、パナソニック初のアドバイザー(その後、社外取締役)など、アドバイザーとして現在も多くの一流企業で活躍されています。さらに多様性やSDGsなどにも造詣が深く、大変有益なお話を伺いました。松江市は城下町でしっとりとした風情があり、何といっても食べ物がおいしいところです。今でも実家があり、島根大学の経営協議会委員を務めている関係で、年に3回程帰省しています。地元高校卒業後、津田塾大学に入りましたが、きっかけは高校時代の英語の先生がそこの出身で、本当にきりりとしてバリバリ仕事されており、私も行ってみたいと思ったのが最初でした。また創設者の津田梅子さんの女性の自立を重視するスピリッツは今でも受け継がれています。当時はどこでも男性がリーダーシップを発揮し、女性は常に補助的な役割を担うといった時代でした。しかし女子大は、当然ながら女性がリーダーシップを発揮し、いろんなことを企画し、行動していました。そのようなことを経験できるのは女子大だからこそで、今にして思えば非常に良かったと思います。マスコミを目指そうと思ったのは、学生時代にTBS系列の「朝のホットライン」という様々なジャンルで活躍する人たちを紹介する番組を観て、私も将来こういう番組で伝える側になれたらというのが最初のきっかけでした。もう一つは、大学4年の時に放送や出版で活躍されていた方の「メディア論」というゼミを聴講したことも進みたいと思ったきっかけでした。当時、女子大生の就職は非常に厳しく、放送局のアナウンス職を第一希望としたものの、どこも採用数が2〜3人という狭き門で、かつ大手企業は「女子大生は自宅通勤者のみ」と明記されている状況でした。男女雇用機会均等法ができる1年程前で、女性は1歳年を取るだけでも就職に不利な時代でした。一旦は別の企業に行きましたが、3ヶ月で退職しました。その後、CBC(中部日本放送)にアナウンサーとして入社しましたが、3年で独立しました。当時の放送業界では女性アナウンサーはキャリア評価されず、男性の終身雇用に対し、女性は1年ごとの契約という条件でしたので別の道を考えざるを得なかったのです。今振り返ってみると、そういう経験から苦しい時こそ前向きな気持ちを忘れない、逆にそれが次のチャンスにつながると考えるようになりました。アドバイザー活動についたきっかけはサンデー毎日で、経営者の方と対談するという企画で、最初から経営者の方の話が面白く、経済の世界というのは世の中の変化が最も早く表れるダイナミックな世界だと知りました。組織というのは結局、人の集団ですから、人の気持ちをどう捉えてモチベーションを高め、組織を率いていくのかという人間くささもあり、本当に面白いと思いました。多くの経営者の方を取材させていただきましたが、その中で実に多くのことを学ぶことができました。リーダーの方たちは、組織を率いていかなければなりませんので、基本は「ポジティブシンキング」です。かといって楽観的だけではだめで、常にリスクを考え、その対応や打開策も示していく必要があります。その上で結果責任をとるのがリーダーだと思います。松下幸之助さんの「3つの勇気と自信」は本当に難しいことだと思いますが、リーダーの方たちは目指していかなければならないと思います。アドバイザーの仕事は、2006年のパナソニックが最初で、当時の中村会長が外部の視点を取り入れるために始められましたが、積極的に吸収しようとされていました。社外取締役に関しては、多様な意見を経営に活かそうと積極的に取り組む企業もあれば、形式的にルールを遵守するだけの企業もあります。トップの多様性に対する考え方によって大きく左右されます。新しい価値を生み出すためには、画一的な集団では難しい時代になり変革が不可欠だからです。人的資本に関しては、ほぼすべての経営者が重視していると思います。そもそも人材がいなければ組織は成り立ちません。投資家は企業のESGやサステナビリティへの取り組みを厳しく評価しており、長期的な視点でのプレッシャーはますます強くなっています。また人材の流動化はダイバーシティを経営に活かす面でプラスだと思います。個人の人生観も多様化し、転職も一般的です。企業の変革と個人の意識変化が人材の流動化を加速させているのだと思います。第1章では、これまでの対談記事の概要を紹介しましたが、内容を整理すると、リーダーシップのあり方や人材育成上の課題や対策、企業経営におけるITが果たす役割とその変化など、経営者のみならず、CIOや情報システム責任者に役立つ具体的な学びを見出すことができます。そこで第2章では対談いただいた方からの学びを10のテーマに整理し、最後にCIOや情報システム責任者の業務に役立つ7つのポイントを紹介します。 第2章理事長対談から学ぶ10のポイントジャーナリスト福島氏が語る理事長対談からの学び14

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