はサポート切れのOSや可視性の低さが指摘され、ゼロトラストでは多様な構成要素を連携させる必要性が説明されました。いずれの分野においても、まず自社の現状を正確に把握し、リスクシナリオに基づいて優先順位をつけ、網羅的かつ体系的な防御戦略を立てることの重要性が強調されました。③AIは人手不足を補う強力な味方参加者から共通して挙げられた「人手・予算不足」という課題に対し、両セミナーではAIの活用が有効な解決策として提示されました。OTセキュリティにおいては、定量的な成果を可視化することで経営層の理解を得る手法が議論され、ゼロトラストセミナーでは、各社のAI活用ソリューションが、膨大なデータ分析や脅威の自動提示によって運用の自動化・効率化を実現することが示されました。AIは、セキュリティの専門家が不足する現場を補い、迅速な意思決定を支援する不可欠な技術であるという共通認識が得られました。今後、攻撃者側もAIを積極的に活用することが予測される中で、防御側もAI技術を継続的に学び、対策として効果的に活用していくことが求められます。今回の2つのセミナーは、サイバー脅威がもはや他人事ではなく、すべての企業にとって不可欠な経営課題であるという共通認識を醸成し、経営層、現場、IT部門が一体となって、リスク評価と改善を継続的に行うための指針を提供する貴重な場となりました。今後も、情報セキュリティ分科会は、こうした異なる立場・関心を持つ企業が交流し、共に学び、連携を深める場を提供し続け、企業全体のセキュリティレベル向上に貢献していきます。「現場主体DX推進分科会セミナー」を開催いたしました。開催日:9月2日(火)13時〜会場:グランフロント北館テーマ:「ノーコード・ローコードを利用し冒頭、加藤副理事長より「DXは単なるツールの導入ではなく、業務のスピードと判断を支える文化作り」と位置づけるべきであり、現場視点での取り組みが何よりも重要であるとの考え方が示されました。基調講演サイボウズの酒本氏から、100を超える市民開発事例を通して、成功と失敗の教訓が披露されました。「現場に入り込んで課題を拾う」「若手とベテランを組ませる」などといった「泥臭い工夫」が自走を促す一方で、「便利先行、機密フルオープン」や「放任によるアプリ乱立」などを防ぐためにはルール設計と伴走が不可欠だと強調されました。事例紹介①住友精密工業の三好氏基幹システム刷新に偏る中で、周辺業務のデジタル化を現場主導で進めた経験を紹介され、「小さな一歩が検索性や共有性を底上げする」と述べられ、情報システム担当は最小限の後押しでよいとの説明がた現場主体DXの方策」なされました。②京信システムサービスの長谷氏社内改善から介護サービス業などの顧客事例を紹介し、「小さく作って回す連鎖」を重視する姿勢を示されました。これらの事例紹介で共通していたのは、「現場主体の改善は作業の効率化を目的として始めるものの、データを一元管理できたことにより検索や分析で大きな結果に結びついた」ということでした。デジタル化、システム化の運用面での縛りがルールとなって、結果的に「共有で利用できるデータベース」が出来上がり、さらに運用効率の向上に繋がったとのことでした。グループ討議「作りたがり問題」や「データ設計の壁」「人材偏重リスク」などが議論の中心的なテーマとなり、重複アプリ抑止の仕組みや教育制度、人材評価のあり方などが課題として共有されました。各社からの発表においても、現場主体を「現場勝手」にしないためのルール整備と人材育成の重要性が改めて浮き彫りになったといえます。総括最後に、小林理事からは「Excelからの脱却でデータ活用が進む一方で、属人化のリスクもある」と指摘され、標準機能を中心とした構築や基礎教育(アルゴリズムや該当ツールの基礎機能)の制度化、情報システム部門と現場との役割分担を次の課題に掲げました。DXの成果は体制作りと文化の浸透にかかっていることが改めて示されました。今回のワークショップの内容を踏まえて、現場主体DX分科会では、ローコードでのシステム構築にプログラムの構造や要件定義スキルの知識が必要ないのか否かを検証し、現場メンバーの教育やサポートのあり方をさらに研究すべきと認識しました。Subcommittee現場主体DX推進分科会セミナー開催報告セミナー集合写真分科会報告22
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