CIO LoungeMAGAZINE_2025autumn
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営業としての思いのベース4 論理的に見るけど、現場を大切にする。でも最終的に何かを判断する時には、情を尽くすけど義を通す。寄りそいながら、部下としっかりコミュニケーションを重ねる。情がない人は、今後の人的資本経営では活きないという思いがあります。そういう意味で、理科系で論理的なものの見方をすることが役立ちましたが、どちらかというと人間好きなところで営業に配属されたと思っています。矢島 続きまして、下野さんお願いします。下野氏 学校を出てすぐIBMに入って、その頃はパソコンもないメインフレーム一色の時代に最初に配属されたのが、その当時の松下電器産業、今のパナソニックの営業で、矢島さんと一緒にお仕事してからの付き合いで、まさに40年の付き合いになりました。副社長とか副会長をやっている時、IBMのユーザー会に責任者として、CIOLoungeのコアメンバーの方々とも大変親しく仕事をさせていただきました。少しでも皆さんの役に立つお話をできればと思います。矢島 森沢さん、自己紹介をお願いします。森沢氏 た大手旅行会社は、なかなか新人のしかも女性の提案を全く聞いてくれなかった。それで、大企業は合わないと思い、語学をもう一度勉強し直そうとイギリスに行き、帰ってきて自分で英語の教室を立ち上げ、いろんな生徒さんを教えました。ある時アシストから話があり、社員教育とともに、アメリカの情報を提供して配るといった仕事もしていました。仕事が面白くなって、「ぜひ営業職に」という話をしましたが、皆から大反対を受けました。それでも一部の方から、「森沢は一度言い出したら、絶対引かない。失敗しても、きっと今の仕事に役に立つだろう」と始めたのが、矢島さんとの最初の出会いで、良いお付き合いをさせていただいて大変ありがたいことだと思っています。矢島 1953年生まれということで、ちょうど71歳。私は私は、大学では語学をやったのですが、最初に就職し皆さんが、営業として自分はこれはやり切ろうとか、こんな思いを持ってやっていこうとか、自分はこういう営業をしていったら絶対にうまくいくと思いながら進めてきた部分があると思うのですがいかがですか。森沢氏 一つは、楽しく営業をやる、とにかく楽しく仕事をしていきたいと思いました。お客様のところに行った方が勉強になり、自分自身が楽しいんだという話をビル・トッテンにした時に、「そうか。じゃあこの際、お客さんと友達になれ」と。「友達はお互い裏切らないから」ということを言われ、それをずっと念頭にやっていた気がします。おかげさまで、もうお付き合い歴強会も毎年色々なところに皆さんと出かけて勉強して、楽しむ会をさせていただいています。木下さんはどうですか。はじめはなりたくなかった営矢島 業をやりだしたからには、何か信念を持って、成功してやろうみたいな、そんな思いはありましたか。木下氏そもそも考えてみると、所詮くよくよしたところで仕方ないので、明るく元気にポジティブシンキング、ピンチはチャンスだと。流通業担当と言われて、誰も先輩なんか面倒見てくれない。自分で調べて、飛び込みセールスで、支援ツールを作って、営業戦略も自分一人で考えて、ある意味では独り立ちが早くなったと思います。九州の人は、情に厚いのですごく明るく迎えてくれた。もともと私も人が好きだったので、新しい人に会うことについては苦にならなかった。色々な人に出会いながら、「袖すり合った」縁を活かすということがすごく大事かなと思っていました。いろんな人に出会うと、興味を持って付き合っておけば、その縁は縁を呼び、縁はつながる。結果的に、私の人生では本当に人に助けられました。良いお客さんに恵まれ、良いパートナーに恵まれ、今があるという思いです。人生悪いこともあるけど、くよくよしないで、「なるようになるさ」「明日はまた明日の風が吹く」とポジティブシンキングという私の性格も良かったのかなと思っています。矢島 ありがとうございます。下野さん、お願いします。下野氏 私は1978年に入社、1995年頃にサービス部門に移りました。その頃IBMの売り上げで、サービス部門は5割くらいあったと思いますが、ほとんどがハードウェアの保守サービスとか製品の付属サービスみたいなもので、本当にピュアなサービスがほとんどない時でした。製品を売っていた時代とサービスを売っていた時代では、営業がお客さんに価値を届けるという方法は違ったように思います。その当時、まだメインフレームの時代だから、見積書に書かれた金額で、高い安いが一目瞭然で分かります。この定量的な価格だけで勝てるのかというと、BtoCであればあまり関係ないが、BtoBでビジネスやるには、結局最後に役員決裁に上げるとき、この経済的価値の上にあるビジネスの価値をお金にコンバージョンしないといけない。どうやって自分たちが高い価値をその上に積んでもらうかが非常に大きな営業の仕事です。その要素としてブランド力はすごいと思う。あと自分が信用されているか、あるいはスピード感を持ってリアクションしているか、そういうのも大きい。一番本質的なのは、製品が持っている価値に、それらの定性的価値を定量的価値に持っていく活動を一生懸命やって、最後に選んでもらう。「営業の仕事は、『IBMの製品はいいけど高いと言うと買わない。でも高いけどいいと言うと買う』、お前の仕事は「高いけどいい」にすることだと上司に言われた。知らないうちにできる営業はそういうことをやっている。下野雅承氏20年、30年、40年というお客様とは今もつながっていますし、勉Networking Day 2025

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