CIO LoungeMAGAZINE_2025autumn
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リスクの抑止と付加価値を求めて営業が目指す効率的なリレーション作りは矢島 言葉は少し違うだけで、大きく違う。ユーザー企業の立場で自分が上に決裁を上げる際に「いや高いけどいいんです」、と言える内容が欲しいですね。下野氏 ことです。後でお話しますけど、プロダクトの場合は、分母がはっきりしている。だけどサービスっていうのは曖昧です。だからサービスの場合は、分母も分子も努力しないとなかなかうまくいかない。でも製品の場合は分母が明確だから、分子側の価値をどうやって高めるかっていうのは非常に大事です。矢島 得させたらいいんだ」と、詰め寄られたことはありますか。木下氏 す。製造業はそこまで言わないが、流通業は、消費者を相手にしたビジネスモデルなので、非常に厳しい。「必ず値段はここしか払わない、納期は厳守だ」と絶対言う。そういうふうに何かそれを価値に換算して「トータルでいい」と言われる木下さんはどうですか。お客さんから「どうやって納だいたいお客さんというのは無理難題をいうもので言われて初めて、営業がスタートする。「じゃあすぐにやるので、システム化範囲をしっかり決めましょう」とどこまでシステム化するか決める。次に一番大きい、納期にも影響する仕様変更の定義というのは結構きつかった。私の時代は個別SIだから、仕様というのはお客さんが決め、その仕様に合わせてうまくこちらが機能を実現するようにする。また、向こうの言われる価格、納期をキープするには、「仕様変更ルールについて取り決めておきましょう」と早めにルールを作り、最初の契約書にうまく載せて、リスクヘッジする。無理難題は、お客さんの特権で言ってくる。結局的にWinWinでちゃんとやらないと次がない。そのためには、初めが肝心で、このシステムのゴールを決めて、我々は共同作業で、「お客さん、この作業とこの作業はあなたたちの役割です」としっかり言う。作業分担しながらお互いのゴールを目指すことが営業の役割です。お客さんを怒らせないように、どうやって逆提案しながらお互いの着地点を見い出すか、無理難題をどのように料理しようかなというのを楽しみながらやることが営業の腕であり醍醐味だと思いました。我々の業界はなかなか値段がつけにくい。ユーザー企業矢島 としても、そのリスクと付加価値の中で選んでいかないといけない。いかにお客様側のリスク、お客様側の価値をどうお客様と共有していくかが、非常に重要です。アシストさんはしっかり、我々の悩みに寄り添っていただいたという印象がありますが、どうですか。森沢氏お客様が「こういうことをやりたい」と言うことと、我々が提供できるソフトウェアサービスをどう結びつけるかで、お互いがどこを目指して、どういう効果を求めるかを合意した上で、動けるのが一番良い形と思っています。アシストフォーラムというお客様事例中心の会をやっていますが、それはアシストのブランド力をすごく高めた一つの手段で、一番役に立っているのは、それを使って実際何ができる、どういう効果があって、どういうコストパフォーマンスが上がるかを、お客さんの口から言っていただける。営業はそういう、喜んでくれているユーザーをどれくらい作ったかが、会社として営業としての勲章で、自分の口から会社としてしっかり紹介できるかが、すごく大事なポイントだと思います。矢島 業のプレゼンや新しいソリューションの売り込みについてご相談いただくことが多い。皆さん一生懸命素晴らしい機能の説明をしてくれる。でも使う側は、その機能を使って自分が何をできるか知りたい。ここにおられる3名の方々は、我々側のニーズの部分に寄り添っていただけたのが、非常に大きな要素になったと感じています。一方、ITの導入もしくは使うことによってリスクも出てくる。トラブルが起こったりした時に、営業の方が手を出せるわけじゃなく、営業は怒られる。ものすごく怒られたけど、そういう形で対応したから解決できたみたいなことはありますか。下野氏 40代の頃に、ディスクの大規模な障害が起こりました。CPUの障害とか、プリンターの障害に比べて、ディスクの障害というのは元に戻すのが大変です。2日ぐらい業務が完全に稼働しないようなことが起こった。結局、バックアップからアプリケーションのデータを戻すのはお客さんしかできない。我々がCEルームでずっとお客さんの仕事が進むのを見ていた。それを、横で見ていたシステム経験のないCIOの方が、「信じられないようなメーカー対応だ」と終わったあとに怒られました。たとえお客様でしかその修復作業ができなくても寄り添って、どんな形でもいいからご支援すべきだったと、すごく反省しました。矢島 敗したことというのは、皆さんの大きな財産となったと思いますが、木下さん、いかがですか。木下氏 から必ず起きます。お客さんも、仕方ないと思う。ただ、起きてからどういう対応をしたか、つまり、一人の営業マンの力ではなくて、全社を挙げて対応しているところが見えてこないと、結局、お客さんからしたら不満になる。私がまだ主任・課長のころ、「全社動かすのが、君の営業力だ」と言われ、はたと気がついて、これは自分として全社挙げた対応をどういうふうにす最近、私どもパートナー企業130社ほどの中で、営そういう反省的なことも、聞いてみたいところです。失システムの障害というのは、人間が作ったシステムだ 5木下学氏Special Dialogue

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