CIO LoungeMAGAZINE_2025autumn
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企業文化とコミュニケーション木下氏するかという判断ポイントで一番重要視しているのが企業文化です。つまり、長く付き合っているのは、文化が合うからです。企業文化、つまり今風のことばでいうと「パーパス経営」で、この会社がどういう方向を向いて、何を一番大切にしている会社か、会社対会社で、そこが合っていないと長続きしない気がする。つまり、作ったシステムは、納めた後からが本当の関係のスタートで、長い付き合いがあるわけです。それなのに、価値観が違うと、毎回お金だけでコンペさせられる。つまり、このような会社とはとても価値観、文化があわないので、初めから付き合わない方がいいと思っています。その点ではゴルフはすごく企業文化が出ると思う。プレイファーストとか、スコアの自己申告とか、その人の人間性が出る。結構、その企業の文化にもつながっていて、例えば、マナーが悪い人がいるのに会社で誰も上の人は言わないのかなと思ってしまうわけです。私は営業時代、そういう見方で、まず「じゃあゴルフに行こうか」と言ってきたような気がします。矢島 ていくかっていうことだと思います。日本はSEの中で3割しか企業SEがいない。結果的に人材が足らなくなって、今やらざるを得なくなってきた時代に、皆さんが助けてあげないと、彼らは動けない。別に、上から目線になれというわけじゃない、何も下手に出る必要もない。皆さんがどんどんセレクションをしていかないといけない時代に入ってきたと思っています。皆さん営業の方から、相手の会社に対して「こうした方がいい」「ああした方がいい」と、言いにくい部分もあるかもしれないけども、結局プロジェクトが成功しないと結果的には不幸になる。そのあたり、どうですか。下野氏 は発注する側がちゃんと発注しないと、いくら受注側が頑張っても絶対にいいものはできない。発注する方が業務の専門家で、ITの専門家とそれぞれが両方の責任を果たすためには、言う時は言わないといけない。サービスは契約書が全てです。そういう意味で、その契約書を作るプロセスを大事にする。6 るかについてずいぶん考えさせられた。私も少しずつ役職が上がっていくと、個人対個人だとどうしても限界がある。障害とか含め、社長の理解っていうのはすごく重要なので、トップダウンで社長が、このシステムの目的とかゴールを自ら語ることができたら、そのシステムは成功しやすい。日頃から、トップ対トップ、社長対社長の信頼関係をどう築いておくかがすごく大きい。特にトラブルの時に、日頃から良好な関係だったら、社長がお互い携帯電話一本で時間が稼げる。だから、個人対個人を自分が担当して、CIOというキーマンとの関係にプラスして、社長対社長の対話を持って、携帯電話一本で用事が済ませられるような関係を日頃から作っておくことが大きなリスクヘッジになる。逆に、社長を巻き込むことによって、社長はシステムへの理解が増すから稟議も通りやすくなる。社長が全社に向けて号令できるようなことにつながると思いますから、ぜひ最後は社長だと、社長との関係構築も営業の仕事だと思ってきました。矢島 すごく重要な話だと思います。ユーザー企業から見れば、何か調整しようとしたときに、営業の方がその会社の代表です。それを私は「できません」と言われたら「何のために今日まで来てたんだ」と言いたくなります。できなくても、そこは一旦ボールを受けて動く。日頃からそれだけの人間関係を作っておくというのが重要です。「なんとか聞いてみます、なんとかやってみます」という一言だけでも、努力したベースがあれば、みんな認めていけると思います。アシストさんの場合は海外のソフトウェアを持ってきて展開していますが、そのあたりで何か苦労されたことはありますか。森沢氏 ないですが、これまではトラブルも結構ありました。緊急性のある場合は、自ら向こうのメーカーのできるだけ高い役職の方を捕まえて説得しました。トラブルの場合には、技術者はすごく一生懸命動いているけれど、それがお客様には見えないので、結局何をやってくれているのかわからない。「今こういう風になっています」とか進捗状況のお客様への報告をきちっとやっていかないと、お客様の安心感は得られないと思います。また、機能拡張の場合は、直談判で、技術者を連れてアメリカ最近はソフトウェアの品質がすごく上がってあまりに行き、どうやったらできるのかを見せながら、改修していました。国内のお客様に必要な大事な機能だという場合は、自らそういうふうに動かないとダメなケースというのは非常にたくさんありました。自分の後輩の人たちに、「ある程度大きな継続的な下野氏 サービス形態の時には、必ず三層のリレーションシップを作っておけ」と言っていました。一層目は日々対面している営業、PMと、お客様は課長か次長で、毎日のように顔を合わせながら、良い関係づくりをやっておきます。次は、マンスリーミーティング。月次定例で、お客さんは情報システム部長かCIO、IBMは部長クラスが、毎月会うからなんだかんだ言いながら関係ができる。さらに、社長レベルも必要です。なぜならば、大きなサービス案件っていうのは必ず何か起こる。ハードウェアの故障、コストオーバーランが起こった時にどう対処するか、いわゆるエグゼクティブとエグゼクティブの強いパスを作っておくべきです。これは定常的な会議がない中で、たまにはゴルフ行ったり、飲みに行ったりとか、IBMではパートナーエグゼクティブプログラムと言いますけど、非常に大事だと思います。もう一つ、新規顧客の時にこのお客さんとこれからどう今の皆さんのお話の真髄は、パートナーとしてどうやっいわゆるシステム開発やコンサルティングサービスなど森沢久美子氏Networking Day 2025

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