CIO Lounge Magazine_2025summer
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AI分科会は2024年5月から活動を開始しました。近年、AIの機能は多岐にわたり急速に進化し、日本企業の競争力・生産性向上を図るために、AI活用は欠かせないソリューションとなっています。しかしながら、どの業務にどのように活用し、得られた結果をどうやって経営に役立てるのか、試行錯誤の状況にある企業が多いのではないでしょうか。そこで、AI活用を進めようとしている企業の方々に集まっていただき、検討・議論を進めてまいりました。まずは各社での活用事例や課題を共有し、次に先進的なAIソリューションを展開しているITサポートベンダーに、それぞれの機能・特徴、目指している世界観をプレゼンしていただき、分科会メンバーの知見を高める取り組みを行いました。本年度は、活用実態をさらに広く収集し、細かく分析することで、企業が抱える課題をお聞きし、ITサポートベンダーにフィードバックしながら、活用ノウハウやガイドなどを示し、AIを活用しようとする企業に役立つ情報を提供していきたいと考えています。そこで、その取り組みフェーズの切り替えにあたり、改めてCIOLounge正会員が所属する企業のAI活用実態と現在抱えている課題感を広く調査すべく、アンケート形式で調査を実施しました。・CIOLounge正会員所属企業50社対象・アンケート回答数41社(回答率82%)・Webによるアンケート調査   ①AI活用の範囲現在のAI活用の適用範囲については、44%の企業がいわゆるビジネス変革の領域から既存プロセスの効率化に至るまでの全方位でAIがなんらか活用されているとしている一方で、バックオフィスの改革や効率化にのみAI活用の適用をしていると回答している企業も28%存在していました。また、特徴として「AIをビジネス変革に活用している」と回答した企業はすべからく本業の既存プロセスにもバックオフィスにもAIを適用しており、その意味ではAIの活用はいきなりビジネス改革に適用しようとするのではなく、まずは既存プロセスの改革やバックオフィスの効率化でAIを社内になじませ、それからビジネス変革に着手するという日本企業らしい慎重なスタンスがうかがえます。(図1)②AI活用推進体制AI活用を推進する体制について見てみると、意外にも自社のリソースを中心に体制が組まれており、外部コンサルやベンダーの活用を前提としている企業は38%にとどまっていることがわかりました。逆にとらえれば、AI活用において外部ベンターやコンサルタントの力を活用することを検討する余地があるとも考えられます。(図2)③経営層の関わりAIの活用は企業の事業活動に直接影響するものであり、もはや企業の成長戦略やビジネス変革プランの立案にはAIの活用そのものの考察が避けては通れないことは明らかです。その意味では経営層のAI活用について積極的に参加することが望ましいと考えられます。そこで当アンケートでは、生成AIという、身近かつ利用用途も多いものに絞り、それに対する経営層の関わり方について調査をしました。結果は経営層はその必要性を理解しつつも、自ら考察するというより、DX部門に一任するという状況が大多数を占める結果となりました。これはある別調査(※1)の結果で、米国企業の約91%が生成AIの活用を推進し、そのうち27%がCEO直下で戦略を進めているという割合と同様の結果に見えるので、さほど日本の経営者が感度が低いというわけではありませんが、今回のアンケート対象がそもそもCIOLoungeの正会員であり、「意識高い」系であることから考えれば、日本全体としてはまだまだAIの本格的な活用について前向きな経営者は少ないといえるかもしれません。(図3)❶調査概要❷調査結果SubcommitteeAI活用分科会AI活用実態調査結果報告※1: 生成AIに関する実態調査 2024年春 米国との比較 PwC 2024/10(アンケート回答40社中、複数回答有)図1:AI活用の範囲図3:経営層の関わり20社19社7社6社5社図2:AI活用推進体制参考:利用AIツール  Copilot ② ChatGPT ③ Azure AI ④ SalesForce ⑤ AI-OCR 分科会報告19

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