7 〜多様性、環境問題、人的資本など〜今後の展望〜AIの可能性と課題〜趣味と仕事のつながり〜名誉ソムリエ〜連部署全体の社員の方に講演をする機会もいただきました。外部の視点を積極的に吸収しようという姿勢がありました。今の社外取締役に関しても、ガバナンス改革で社外取締役の起用や女性の登用などが求められていますが、その受け止め方は会社によって大きく異なっています。形式的にルールを遵守する会社もあれば、多様な意見を経営に活かそうと積極的に取り組む会社もあります。ガバナンスにおける社外取締役や女性の人数は形式的なもので、実際はトップの多様性に対する考え方によって大きく左右されます。外からは分かりにくいですが、外形的なルールを守っていても、前向きに活用する会社とそうでない会社では大きな差があります。■経営者へのメッセージ矢島 営・マネジメント、企業価値など様々なテーマで経営者と対談されていますが、環境問題、多様性、労働環境について経営者の皆さんはどこまで真剣に考えていると感じますか?福島氏 5割以上いると思います。新しい価値を生み出すには、画一的な集団では難しい時代になり、変革が不可欠だからです。人的資本に関しては、ほぼすべての経営者が重視していると思います。そもそも人材がいなければ組織は成り立ちません。特に人手不足の現在は、優秀な人材を獲得するには魅力的な職場づくりが不可欠で、経営に直結するからです。環境問題は長期的な課題であり、時間軸という観点から、人材との向き合い方とは異なると思います。しかし、異常気象や自然災害が頻発し、地球環境破壊の深刻さが現実味を帯びてきており、経営者の危機感は高まっていると思います。また、投資家が企業のESGやサステナビリティへの取り組みを厳しく評価しており、長期的な視点でのプレッシャーは大きいと思います。矢島 女性活躍本部などを設置して、女性を本部長に登用するなど先進的な取り組みをされていました。福島氏 矢島 福島さんは多様性、組織変革、人材育成、SDGs、経私の感覚では、多様性を真剣に捉えている経営者は多様性に関しては、パナソニックの中村さんが25年前に当時でも女性の候補者がいらっしゃったのですね。最近、パナソニックを退職した人材が各方面で活躍されており、良い流れだと感じています。津賀さん(津賀一宏パナソニックホールディングス取締役会長)が社長の時代に外部人材の登用が進み多様性が増えました。それまでは、パナソニックは金太郎飴のように同じような人材を育成してきましたが、外部からも人材をいれることで多様化が進み、元ソニーや元IBMの人たちが活躍しているように元パナソニックの人たちも活躍し始めています。福島氏 人材の流動化が進むことは、ダイバーシティを経営に活かす面でプラスだと思います。矢島 多様性の重要性は、福島さんがおっしゃる通り経営者の意識改革が不可欠です。人的資源経営、人材育成、モチベーション向上も重要であると、福島さんのお話から改めて感じました。福島氏 個人の人生観も多様化し、転職も一般的になりました。企業の変革と個人の意識変化が人材の流動化を加速させていると感じます。矢島 スポーツ界もそういう意味ではかなり変わってきました。現在、日本の多くの選手が大リーガーで活躍しています。義理の弟さんであるイチローさんは先駆的に大リーガーで大活躍されました。活躍された方々は、人間的に一枚も二枚も大きくなられていますね。球団経営も、去年優勝した横浜DeNAベイスターズの南場会長が、球場にも顔を出します、お金も出しますが、口は出しません、という素晴らしい言葉の中で選手やスタッフも生き生きとしていましたね。そういうモチベーションを上げるという部分は、企業だけじゃないですね、スポーツ界でも、非常に重要になってきているというのを先ほどのお話からも感じています。矢島 はどう見られていますか?福島氏 業務の効率化、リスク予見、R&Dなど活用範囲が広がっており、その速さに驚いております。著作権や人権など課題がありますが、AIにできることは任せて、人間は人間にしかできないことに時間と労力を使うべきだと思います。人間の感情や、現場から得るリアルな実感は、新しい価値を生み出す原動力であり、人間にしかできないことだと思います。矢島 福島氏 AIを活用すべきという話になる一方で、目的が明確でないと技術に振り回されるリスクがあると感じることもあります。技術が日進月歩だからこそ、経営者やリーダーは目指すべき方向性を明確にして、その手段としてAIやデジタルを活用していくのだという意識をしっかり持つことが重要だと思います。矢島 担うべき仕事を明確にする必要があると思います。社員全員のAIリテラシーを向上させ、全員が使える環境を整えることで企業の生産性や価値向上につながります。生成AIは素晴らしいツールであり、経営者が先頭に立って企業改革に活かす時代になりました。矢島 福島氏 イザーの資格を取得しました。その後、ワイン産地に取材に昨年から「生成AI」が登場していますが、福島さん取締役会でもAI活用が議題となり、生産性向上、人口減少も進みますしね。そうですね。経営者への取材や議論では、デジタルや経営者は生成AIの活用範囲を定め、AIと人間が福島さんは、現在ソムリエ協会の名誉ソムリエでしたね。たまたまワインが好きで、1997年にワインアドバSpecial Dialogue
元のページ ../index.html#8