標準化は効率を生むが〝らしさ〟を奪う。【6】 部門文化の壁と「プロセスオーナー」の育成【7】 市場を読む力−EVの減速とアプリケーション志向−【8】 日本の製造業が進むべき道−標準化と職人の技の共存−松本氏 界がありました。開発が追いつかず、修正のたびに負担が増える。あるコンサルからは「FittoStandardでSAPのような標準システムに合わせるべきだ」との提案を受けましたが、正直、抵抗がありました。ロームは創業以来、自分たちの手で仕組みを作り、磨き上げてきました。製品だけでなく、プロセスそのものが競争力の源泉です。それをすべて外部標準に合わせるのは、魂を手放すようなものだと感じたのです。矢島 員の多くは「一週間に一度のデータ更新で十分」と言っていました。リアルタイム連携は不要だという声も多かった。でも、松本さんから言われた「変化が激しい時代に即応が要る」という言葉が後から効いてきましたね。松本氏 を先送りした部分は反省しています。ただ、同時に「何を変えずに残すか」も重要でした。経営企画部門が中心となって〝ロームらしさ〟を言語化し、「変えてはいけない部分」と「標準化して良い部分」を整理しました。例えば、製造品質に関する基準は絶対に守る。しかし、受発注の事務プロセスは標準化しても構わない。そうやって線を引く作業を丁寧に積み重ねました。矢島 そうなんです。古い仕組みを維持するにも限私もその頃、現場を回って意見を聞きました。社そうですね。今振り返っても、あのときに判断その後、プロジェクトを通して「プロセスオーナー」や「データオーナー」を設ける動きが出ましたね。松本氏 はい。サプライチェーンの全体を見渡せる人材が必要だと痛感しました。営業、生産、購買、それぞれが部分最適で動くのではなく、横串で全体を設計する人がいなければ改革は形骸化します。それで、GM的な役割を担う人材を明確にしていきました。プロセス全体を理解し、意思決定の裏付けをデータで語れる人。彼らの存在が、SCMの骨格を支えるのだと思います。矢島 現場で感じたのは、社員の皆さんが本当に真面目で、与えられたルールを守る力が強いということです。だからこそ、横串の視点を持つ人が出てくると組織全体が大きく変わりますね。松本氏 おっしゃる通りです。真面目な組織ほど、セクショナリズムに陥りやすい。だから、あえて「越境」を促す役割が必要です。SCM改革は結局、人づくりでもありました。矢島 画の見直しが相次ぎました。松本氏 が、需要の減速は予想以上でした。顧客から「まだまだ伸びる」と言われて信じてしまった。結局、読み違いは自分たちのマーケティング力不足です。これを機に、営業を地域別からアプリケーション別組織に切り替えました。どんな分野でどう使われるのかを、エンジニアと営業が一体で把握する。顧客の言葉ではなく、自ら市場を読み取る体制にしたんです。矢島 テクノロジーのスピードが速い今、経営者が技術を理解していなければ判断が遅れる時代です。松本氏 な判断は人間の感覚です。データは過去の結果でしかありません。五感を使って、政治や地政学、社会の空気を読む。数字に表れない兆しを感じ取るのが経営者の仕事だと思います。矢島 ここ数年、EV市場の変動が激しく、世界中で計パワー半導体への投資は正しかったと思いますなるほど。まさに「技術と市場の融合」ですね。AIやデジタル活用は欠かせませんが、最終的日本の電子部品産業の行方についてはどう見てお11Special DialogueⅡ
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