本分科会の構成メンバーは10名程度なのですが、同じ企業の中で複数回の基幹システム刷新を経験しているか、あるいは転職をして複数企業での経験を有しているメンバーが多く、全体としての基幹システム刷新経験は相当な回数であると言って良いかと思います。その豊富な経験値を背景にして基幹システム刷新の「Why」「What」「How」のエッセンスを2つの部会(ならびに分科会全体)で並行的に検討を進めており、それぞれの部会の検討会議ならびに個別ヒアリング等も合わせると50回前後のセッションを重ねてきました。経験したケース数が多いことはもちろん良いことである反面、それをまとめるという観点からは少々手こずることも多く、議論は未だ収束したとは言えない状況ですが、前号以降に検討をしてきた内容の一端をご紹介したく思います。「WHY:起案の重心」(図①参照)前号の本稿において、基幹システム刷新の起点を4象限で類型化し、検討を試みると述べました。実際に分科会メンバーと各社のケースをスタディしてみると、どの象限が最初の起点であったとしても、正式なPJを始動させるための社内決裁を取る段階(これを「起案」と称しています)においては、全象限の要素が大なり小なり含まれてくることが大半でした。同時にわかったことは、「起案」段階での4象限間の重心づけによって、適切なPJ体制や採用すべき技術などが変わってくる可能性があるので、狙い/達成すべき事項の明確な定義が必要ということです。逆に言えば、総花的な重心を持つ「Why」だとPJの建付け方が平板になり、そもそもの狙いや当事者意識が希薄化する結果、PJ推進が停滞する恐れがあります。「WHAT:採用技術の選択肢」(図②参照)昨今の基幹システム刷新においては、いわゆるERPを活用することが一般的かと思います。実際、分科会メンバーの数多い経験を見ても、欧米のメジャーなERPを導入した事例がほとんどでした。基幹システム刷新の選択肢として今後もERPが主要な位置を占めることは疑いないと考えますが、当分科会では「Why」の4象限の重心によっては他の技術的選択肢が適合し得るのではないかという仮説を立てて検討を進めています。というのも、ERP導入はPJが大規模化する傾向があることに加えて、パッケージの標準機能に合わせて業務を変更する負荷も小さくはないので、例えば大きな業務改革を志向せずに情報技術の老朽対応(4象限の右下)を中心に起案する場合などは、ERPではない技術を採用することが合理的なように思えるからです。この仮説については、日進月歩の情報技術の動向を踏まえながら、さらに深掘りを進めています。「HOW:工程別TIPS」(図③参照)どのような目的で何の技術を採用したとしても、基幹システムの刷新は難易度の高い全社的取組みとなりますが、幸いなことに(?)、分科会メンバーの経験には成功体験と同じくらいの失敗体験も蓄積されています。成功のための工夫や失敗の原因など、各人の貴重な体験を個人的ノウハウに留めておくのではなく、PJの工程に沿った形で汎用化しようと整理/集約を試みています。情報を外部へ100%開示できるわけではないので、どれくらい生々しさを伝えられる内容に仕上げられるかはチャレンジとなりますが、なかなか一筋縄では行かない基幹システム刷新を円滑に進めるための一助になればと願いながら作業をしています。2025年は本分科会の立上げ初年度で、検討の方向性や進め方を模索しながらの活動ではありましたが、大企業におけるERP導入を核とした基幹システムの刷新についてはそれなりに検討を進めることができたように感じています。2026年においては、その検討結果を具体的な形にして世に出すとともに、大企業以外、ERP以外の基幹システム刷新について新たに検討を深めていければと考えています。皆様からもご意見やご要望があればぜひお聞かせください。Subcommittee基幹システム分科会今年度の経過報告図③ 工程別TIPS図① 起案の重心図② 採用技術の選択肢分科会報告17
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