2023年8月2日開催 企業DXの方向性を考える分科会イベント
【中小企業のDXはどのように進めれば良いか、熱く議論を展開!】

Ⅰ.はじめに

 当分科会は、今年の2月からCIO Loungeの分科会活動のひとつとして、正会員有志9名で本格的に活動を開始しました。また外部の知見も取り入れて、今後のCIO Loungeの活動に寄与できる成果物(DX推進フレームワーク)をつくりたいとの考えから、サポート会員企業であるデロイトトーマツコンサルティングにもこの分科会に参画いただいています。
スタート当初は、分科会として何を目的に活動をしていくべきかメンバーのあいだで喧々諤々の議論が交わされました。


・事業としてお客様に提供している価値を起点に、デジタルを活用することで付加価値をつけることがDXであり、DXの推進フローを作成するのであれば根本的な各企業のもつ提供価値の整理から行うべきである。

・推進体制や予算もある程度確保できる大企業は、自分たち自身の力でDXを推進していくことは可能であるので、この分科会で取り上げる必要性は少ない。

・むしろDXを会社として進めて行きたいが、推進体制は脆弱で予算もなく、どうしたら良いかDXの最初の入り口で悩んでいる中小企業のDXをどのように進めて行くか議論すべきである。

以上のような議論を経て、DXに関心のある中小企業のDX推進責任者と分科会メンバーが具体的に議論する場として3回シリーズのワークショップの開催を企画しました。

 しかし企画はできたものの、具体的にどのような企業に声がけをしたらいいか最初は非常に悩みました。そのような状況の中、正会員からは関連する取引先企業のご紹介や、過去にCIO Loungeに相談をされた企業などにお声がけして、最終的に7社10名の人たちにお集まりいただき、1回目のワークショップを8月2日(水)に開催することができました。
参加企業の皆様からは、今回のワークショップでいろいろな業界の方たちと知り合うことができ、今後もこのネットワークを大事にしていきたい。
システムの話ありきではなく、自社のビジネスを起点としてDXについての議論が進められた点が非常に良かったなど、実施内容やファシリテーターの技量に高い評価をいただきました。

以下、今回実施したワークショップの具体的な内容について紹介します。

Ⅱ.ワークショップの内容について
~DXをWhy/What/Howの3つのステップで議論する~

1.ワークショップ開催のねらい

 今回のワークショップは大きく以下の4つをねらいとして実施しました。

1.1.ワークショップでは、CIO Loungeの分科会メンバーがファシリテーターもしくはディスカッションメンバーとして一緒に議論に参画し、中小企業の参加者の皆さんが直面しているDX推進の課題や悩みについて、解決策や方向性を導き出す。

1.2.他社のDXに関する取り組み内容や推進上の課題について、互いの情報交換を行うことによりDXに関する現在の自社の立ち位置を今一度見直す機会とする。

1.3.同じような立場の人とのコミュニケーションの場として活用いただき、新たな人的ネットワークをつくる。

1.4.議論した結果については、フレームワークというかたちで整理(成功のポイントを整理、失敗のポイントを整理、構成要素の整理など)しCIOLoungeの今後の活動においユーザー企業のDX実現の一助として活用していく。

2.実施内容

2.1.対面で実施しを基本とするため、京阪神に基盤を置く企業を中心に参加を募集しました。

2.2.年商の規模が300-1000億円程度で、かつDXの進め方に対して問題意識を持ち、経営・業務部門・IT部門のトライアングルの組織構造を持っているような企業に参加を依頼しました。

2.3.ワークショップはDXのWhy/What/Howの各ステップに分けて3回実施する計画とし、各会とも十分な議論の時間をとりDXの本質の理解と各回で想定した成果物をつくっていきます。今回(8月2日実施)の1回目のワークショップでは、各企業のDX推進の課題は何かについて議論し、各社ごとに事情の違いが浮き彫りとなりました。2回目(9月20日予定)のワークショップでは、課題の解決策を徹底的に議論する予定です。

2.4.ワークショップ終了後には、参加者相互のコミュニケーションを目的に懇親会を開催し、ワークショップの議論をさらに深めました。

3.事前ヒアリングで参加企業の現状の把握を実施

我々CIO Lounge正会員は大企業出身者が大半であり、今回参加いただいた企業の事業規模を十分理解できているとは言えないことから、当日ワークショップの議論をスムースに行うために、各社1時間の事前ヒアリングを行いました。

今回の参加者は初対面の企業が多かったことから、事前ヒアリングで会社の状況を説明いただき、お互いに意思疎通を図れたことはワークショップを進める上でも非常に良かったと感じています。

「7つのヒアリングのポイント」

①DXで解決したい事業課題 (優先順位が高いもの)

②全社的なDX推進の 体制・役割分担

③経営層や他部門からの IT部門に対する期待

④IT部門の体制・業務内容 ・人員規模・予算規模等

⑤IT部門におけるIT/DXの 取り組み方針、取り組み内容

⑥上記取り組みにおける 推進上の課題

⑦今回のワークショップへの期待

4.今回のワークショップで議論した主なポイント

今回参加いただいた7社のDXの取り組み状況を聞くと、企業ごとに置かれているIT環境やDXの課題もまちまちでした。

しかし、その中でもDX推進の課題としてどの参加者も最も多くあげていたのが、経営層や業務部門とのコミュニケーション、特にDXは何のために行うかをしっかり理解してもらうことが重要と理解できたとの意見でした。それ以外にも以下のような内容の議論が交わされました。

①基幹システムの再構築に伴う経営の可視化、業務プロセスの標準化、原価低減活動やデータ活用をどのように進めて行くべきかが喫緊の課題であり、その具体策を考えていきたい。

②経営からDXを進めるようにリクエストがあったが、経営との合意形成をどのように進めていったらいいか悩んでいるので、CIO Loungeからのアドバイスをもらいながら経営や業務部門が納得いく内容にまとめていきたい。

③IT部門の高齢化やリソースの確保が十分できない状況で、既存システムの保守とDXの両立をどのように進めて行くか、経営と優先順位をしっかり確認していくことが重要と感じた。

③DXを推進するにあたって、IT部門の責任と役割を再度整理する時期にきていると感じた。

次回ワークショップ(9月20日予定)では、前回各社から出された課題に対して解決策の議論を進めていきます。