【CIO Loungeの相談支援事例:株式会社OSGコーポレーション】 水関連機器総合メーカーOSGコーポレーションが描く「現場発・経営連動型DX」
DXを進めること自体が目的化していた課題
「DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めること自体が目的化していました」。
こう語るのは、家庭用・業務用浄水器の製造・販売などで成長を遂げているOSGコーポレーション(大阪府)の山田啓輔社長です。「しかしCIO Loungeに相談したことで、“どのように事業をデジタルで変革していくのか”をDX推進フレームワークに沿って改めて見直すきっかけになりました」(同)。
同社の創業は55年前の1970年に遡ります。家庭用浄水器からスタートし、今では業務用浄水器のほか、フード事業や衛生事業などに拡大してきました。当然のことながら、事業の拡大とともに情報システムの整備・活用も推進してきました。「今後、さらに市場を拡大したり、海外売上高も増やしていきたいと考えています。そのためには、AI(人工知能)やITをもっと活用する必要があります。ただ、専門的な知見はありません」(山田社長)。そこで門をたたいたのがCIO Loungeでした。

大阪・関西万博でも活躍!「ステハジ」精神で環境負荷を削減
2025年10月に閉幕した大阪・関西万博。会場のシンボルである「大屋根リング」の下に、水筒などに給水できるスポットがあったのを皆さんはご存知でしょうか。実はその給水器を設置・運営していたのも、OSGコーポレーションです。

「当社では“ステハジ”プロジェクトを2019年から推進しています。これは使い捨ては恥ずかしい、という意味です。その精神を元に大阪・関西万博にも協力させていただきました。期間中に1200万回を超える給水があり、ペットボトルの製造・焼却などの環境負荷を計算すると97万キログラム以上の二酸化炭素削減効果もありました」(山田社長)。
“偶然”から始まったCIO Loungeとの相談
「知ったのは本当に偶然でした」(山田社長)。同氏が参加した経営者交流会で、講師役としてCIO Loungeの矢島考應理事長が登壇。「矢島理事長の講演内容に心が動き、すぐにWebサイトの問い合わせフォームから相談依頼をしました」(同)。
「とりあえず何でも聞いてみよう、やってみよう。失敗したらまた変えたらええやんというのが、うちの企業風土にあります」(山田社長)とためらいはありませんでした。そして「経営とITの架け橋~企業に寄り添うITレスキュー集団~」というCIO Loungeの理念にも共感するものがあったと言います。
全社員が「兼PP部所属」! 経営連動型DXへ
OSGコーポレーションでは、社長をはじめ全社員の名刺に「(兼)PP部所属」の文字が刷り込まれています。「プロダクトプランナー、製品提案という意味です。総務も管理も経営も営業もPP兼務。全社員が経営意識や企画開発をする意識を持とうということです」(山田社長)。ボトムアップでもボトムダウンでも、現場での業務改善に積極的に取り組んでいます。一方で、社員のDXリテラシーに差が生じており、会社全体としてもDXへの目的・効果指標が曖昧であるなどの隘路に陥りかけていました。
だからこそトップが前に出て課題解決の糸口をつかみたい。「DXは今後絶対に欠かせない存在です。ただし、本当の変革を起こすためには、トップが自分ごととして関わらないとDXは浸透しません」(山田社長)。今回取材に同席いただいた実務を担当する重谷次長も「社長が発信をされているので、現場でも話が通しやすくなりました」(重谷次長)と手応えを話します。オンラインで行われた1回目の打ち合わせ会議には、実務責任者の重谷次長に加え、山田社長自らも参加しました。CIO Lounge側からは、矢島理事長ら約10人が顔を揃えました。
CIO Loungeの「DX推進フレーム」で〝現場発・経営連動型DXを推進
ご相談のあった課題解決の方策としてCIO Loungeが提示したのは、HPに公開されている「DX推進フレーム」の活用です。これは「中長期のDXビジョンを明確化し、目標達成に向けた最適なDX推進計画を策定する手法をまとめた」ものです。実際にDXを推進してきたメンバーのノウハウが盛り込まれています。「Why、What、Howというフレームの流れに沿って改めて整理してみると、自社が何を目指すのか、基本的なことに気づかされました」(山田社長)。初回の相談を通じて明確になったのは、まさしく〝現場発・経営連動型DX〟への推進です。「フレームワークを参考に、基幹システムの最終目標を明確にしましょう」というアドバイスもありました。
次の「面白いビジネス」へ
もちろんDXはゴールではありません。「当社には川上から川下までの貴重な顧客データがある。ここにデジタルを絡ませれば、もっと面白いビジネスが出来るのではないか。色々な発想は広がっています。ただ、まだ形にはなっていません」(山田社長)。次の一手へどう駒を進め、具体化の青写真を描いていくか。壁打ちの相手として第三者の中立的視点を持つCIO Loungeと相談を重ねていきながら、55周年のその先を見据えられています。
自分たちだけで抱えないで、思い切って扉をノックしてみて」
CIO Loungeは、大手企業のCIOやIT部門責任者として、DX化やIT化の課題に先進的な対応をしてきた経験豊富なメンバーが揃います。では、中小企業にとっては縁遠い存在なのでしょうか。「相談しても自分のような規模の会社に当てはまるのか。私も最初はそう思いましたが、とても相談しやすい組織です。実際、中小企業の相談件数も多いようです。自分たちだけで抱えないで、思い切って扉をノックしてみてください」(山田社長)。 CIO Loungeは、日本企業のIT化・デジタル化を加速するために活動しています。「経営は意思です。経営者がこうしたいと思う方向に間違いなく向いていきます」(山田社長)。そんなトップの思いに寄り添いながら、今後も支援を続けていきます。
