【SCM分科会開催レポート】「SCMを支える仕組みについて」~事例に学び、SCMの本質に迫る~

2026年6月9日、株式会社アシスト西日本支社にて「第7回SCM分科会ワークショップ」が開催されました。テーマは「SCMを支える仕組みについて」です。ユーザー企業、サポート企業、CIO Loungeメンバーを含む54名が参加し、SCM推進において着実に成果をあげておられるブリヂストンの事例を一緒に学びながら、SCMを仕組みの視点から、課題を整理して、解決策を模索しました。

<事前アンケート結果分析>

本ワークショップにおいては、事前に参加者にアンケートを実施し、その結果を参加者と共有しました。

アンケート内容はSCM組織の有無、ITシステムの活⽤状況、ワークショップへの期待、現在抱える課題や他の参加者への質問という5つの項⽬で構成され、9社14名から回答が得られました。

結果分析によると、SCM組織の有無は5社が「あり」、4社が「なし」と回答。組織がある企業でも需給調整中⼼や物理管理中⼼など、その機能は多様であることが示されました。ITシステムに関しては、多くの企業がS&OPやSCPといった「計画系システム」の活⽤に課題を抱えている⼀⽅、ERPについては活⽤状況が⼆分される結果となりました。同じ社内でも⽴場によって認識が異なるケースも見られました。

ワークショップで関⼼の⾼かったテーマは「推進組織」「データ経験管理」「意思決定」であり、「在庫配置の効率化」「在庫削減」「⼈材育成体制」にも注⽬が集まっていました。また、⾃由記述の課題からは「KPI関連」「体制‧意思決定」「在庫適正化」「販売需要予測」への課題認識が高いことが分かりました。

また、他の参加者へ聞いてみたいことという質問に対しては、「SCM部⾨」「システム導⼊」「経営推進体制」「グローバル展開」への関⼼が⾼いことが明らかになりました。

<事例発表:ブリヂストンSCM本部長大下氏>

ブリヂストンの⼤下⽒は、⾃⾝の経歴を紹介された後、同社のグローバルな事業概要と組織体制について説明されました。 更に、改善事例として、「物流改革」と「ITを駆使した生産計画の改革」をご紹介頂きました。

次にブリヂストンで推進しておられる「意志決定の仕組み」と「働き方改革・人材育成の方向性」についてお話を頂きました。

最後に⼤下⽒は、⾃⾝の経験からSCM改⾰を成功させる要諦として次の3つの点を挙げられました。

  1. 工場能力の把握(先行き需給状況の見える化)
  2.  財務/経営企画、製造との連携
  3. 自律的な改善文化の醸成
ブリヂストン 大下様

<質疑応答及びグループディスカッション>

事例発表後、30分の質疑応答と90分のグループディスカッションを行いました。各グループの議論内容は以下の通りです。

【Aグループ】

 ・部門間連携がうまくいっていないというキーワードがでてこなかったのが驚き。
どこかで企業文化が変わったと想定したが

・AIを使っているけど使われていないと見受けた。財務との連携というキーワードがSCMからでてきたのも驚いた

【Bチーム】

 ・欠品、在庫、どこの指標を重視するかを議論した

 ・営業と経営で視点が違う。KPIをどうするか考える必要がある

 ・暗黙知をどうやって形式知化するか。引き継ぎ書、AI活用による学習、蓄積などの話もあった

 ・ERPとスクラッチをどう使い分けるか。F2Sができるのかどうか

 ・ローテーションをきちっとしている、人を回す仕組みが確立されているのも大きなポイントという話もあった

【Cチーム】

 ・SCMの組織と価値が確立されている

 ・人財育成、現場ローテ含めてしっかり考えていると思った

 ・判断基準、ロジックがぶれない

上記3つが学びとしてあり、議論としては下記のような結論

 ・SCMの価値をどう認めてもらうか

 ・解決策に飛び道具はなく、ひとつひとつ解決していくしかない

【Dチーム】

 ・SCMに権限がある

 ・在庫のストックポイントをどこに置くか

 ・SCMに権限があるので会社を変える力がある

 ・他部門を説得できる力がある、数字を持って説明するという点は感銘した

 ・KPIの置き方で見方が異なってくる

 ・営業にとってのKPI達成が、必ずしも他部門のKPI達成にはならない

 ・SCMに言えば何とかしてくれる、は大事にしたい

ディスカッションの様子

<クロージングコメント>

参加者による議論が非常に熱を帯びており、各社の実務課題に引き寄せた具体的な意見交換が行われていました。また、ブリヂストンの事例については、SCM組織の位置づけ、人材育成、部門横断の調整力、判断基準の明確さなどが多くのグループから学びとして挙げられていました。

大切なことは、販売と生産が社内で対立するのではなく、本来戦うべき相手は市場や競合である、という意識を持つことです。そして、そのためには、社内の部門間対立を和らげ、会社全体として市場に向き合う風土をつくる必要があります。

会社の規模、グローバル展開の有無、商品特性、生産方式、デカップリングポイント、経営方針によって、あるべきSCMの形は変わります。したがって、他社の成功事例をそのまま移植するのではなく、自社の課題を認識し、他社事例からヒントを得て、検証と実践を続けることが重要であると再認識しました。(執筆:本田)

集合写真